2020年に開催される東京オリンピックの特徴と問題点について前田裕幸氏はどう見る?

最終更新日 2024年4月27日 by freedo

⒈2020年に開催される東京オリンピックのコンセプトと問題点

2013年に開催が決定した東京オリンピックは、政府や民間が協力してチャンスを勝ち取った大会です。

トルコのイスタンブールやスペインのマドリードが候補でしたが、投票の際はどちらも大きく引き離して得票しました。

メイン会場の建設計画白紙化やロゴの酷似など、いくつかの問題は発生したものの、ほぼ計画的に準備が進められています。

2017年にアンバサダーキャラクターが決まり、ますますオリンピック開催が近づいている印象が強まりました。

同じく、2017年にはボランティアの募集も発表され、大会を現地で支援する参加者が募られています。

ボランティアなので無償ですが、外国人を含めて案内などの対応に従事できることは、将来的に良い経験になるといえるでしょう。

東京オリンピックは、これまで以上に多くの人達が参加して作り上げる大会ですから、無償であっても前向きに参加を検討する意義は大きいです。

今大会は、スポーツが持つ世界と未来を変える力に着目しており、3つの基本コンセプトを掲げて大会のビジョンとしています。

1つは全員が自己ベストを記録できる、そういう安全や安心感のある運営が挙げられます。

万全の準備と運営体制を確立することで、世界最高水準のテクノロジーを駆使した大会運営や、日本人らしいおもてなしで歓迎するのが目標です。

もう1つは多様性と調和で、人種や国に肌の色と性的指向も関係なく、様々に肯定して互いに認め合うことがコンセプトです。

自然に受け入れたり互いに認め合える社会は進歩的、というところからこのコンセプトが組み込まれました。

最後は未来に継承するというもので、1964年に行われた前回の東京オリンピックとは違い、成熟した日本が世界にポジティブな変革を促すことが考えられています。

レガシーを未来に継承する、そういったことを考えたり取り組む大会に位置づけられます。

 

⒉課題は交通量の増加による対応

現在、日本は各分野のスポーツで活躍する若手が台頭しており、世界のアスリートと肩を並べる人が少なくないです。

これは、前回の大会から継続的に選手を育てたり、環境を改善する取り組みを行ってきたことが理由だと思われます。

まさに国家として成熟しただけでなく、スポーツに挑戦する人達にとって、大きなチャンスが生まれる国になったといえます。

着々と準備が進められている東京オリンピックですが、しかし同時にいくつかの課題があります。

目下の課題は交通量の増加で、人口密度の高い東京に各国から人々が集まることから、対応できるか否かが懸念されています。

電車の混雑率だけでも予想では200%と、日常生活を送る人達に支障をきたしかねないです。

交通の便に問題が起これば、経済活動そのものが停滞してしまいますから、もし予想の混雑が起こってしまえば本末転倒です。

オリンピックはスポーツの盛り上がりに加えて、経済効果も魅力的ですから、十分に発揮するように万端の準備を整える必要があります。

この疑問に対し都知事は、オリンピックを切っ掛けに働き方の改革を進め、在宅勤務ができるようになるのが良いとポジティブに答えています。

課題といえば競技施設の赤字も無視できない問題で、黒字化に期待が持てる施設の方が少ないのがネックです。

都知事はネーミングライツを含めて、収入源を確保できるのではないかと、やや楽観的に考えている印象です。

運営を民間に任せて黒字を目指すことも視野に入れていると、過去の発言で明らかになっています。

 

⒊猛暑による選手や観戦者への影響

東京オリンピックで一番対応の優先順位が高いのは、やはり猛暑による選手の健康への影響でしょう。

近年、東京は8月の気温が30℃台を超えており、30℃以上になる日も少なくないのが現実です。

室内でもエアコンが必須ですから、屋外のそれも炎天下でスポーツとなると、熱中症の発生が心配です。

直射日光を受けた地面は50℃にも60℃にもなりますから、気温の数字以上に選手の体力を奪う恐れがあります。

開催期間をずらす、あるいは開催時間を早めにするなどの案が出ていますが、いずれも実現性は薄いようです。

前者は放送の都合で実現は難しく、後者は期待ほどの効果が得られないといわれます。

出場する選手と共に、観戦者も無視できない問題ですから、具体的にどのような対策を行うのか注目が集まります。

既に国内では不安視する声が次々と出ており、海外メディアも取り上げて、開催日時や対策を疑問視する声が上がっている状況です。

テロ対策を理由に、会場ではドリンクや日傘の持ち込みは不可能とのことで、こちらの対策からも目を離せないです。

今のところ、選手には専用の休憩所を設け、観客には入場待ち時間を20分以下に抑える対策で対応する見込みです。

乗り越える必要のある課題とその対応も併せて、東京オリンピックは今まで以上に注目が集まる大会になると予想できます。

新記録や優勝候補の選手が次々に現れていますし、大会に向けて徐々に盛り上がりを見せていますから、2020年の夏は暑さ以上に盛り上がりそうです。

前田裕幸 信和建設